世界文化遺産への「佐渡島の金山」の推薦において自民党の高市政調会長が、ユネスコの世界文化遺産登録の推薦期限である来月1日までに推薦すべきとの考えを示されました。
その背景には、戦時中に朝鮮半島出身者が強制労働させられたとして、韓国側が抗議していることがあるようです。
この高市氏の主張がまるで問題発言のようにテレビ局各局が報道していますが、果たして間違っているでしょうか。
高市氏が政府に求めたように「韓国側にも外交ルートで説明する」ことが必要であり、安易に今回の推薦を取り下げるべきでは無いと考えます。
目次
- 佐渡島金山の歴史
- 佐渡島金山の世界遺産登録の経緯
- 佐渡島で朝鮮人の強制労働は行われたか
- まとめ
1.佐渡島金山の歴史
人類が求め続けてきた「金」獲得のため、江戸時代の鎖国下でと伝統的手工業によって金生産が行われました。
国内を代表する金山である「佐渡島の金山」では、江戸幕府の直接管理の下、高純度の金を産む生産技術とそれを可能とする高度に専門化された生産体制が整備され、世界でも類を見ない大規模な金生産システムが長期間に渡って継続していました。
佐渡島の金山では異なる二つの金銀鉱床(鉱脈鉱床・砂金鉱床)の開発が進められ、17世紀には世界最大級の産出量を上げ、江戸幕府の財政やオランダを通じて世界貿易にも大いに貢献しました。
現在、佐渡には金の生産技術に関わる採掘・選鉱・製錬・精錬の遺跡、生産体制に関わる奉行所跡や鉱山集落跡などが残っております。
このような遺跡が良好な状態で残るのは世界的に見ても佐渡だけであり、そこに世界遺産登録への推薦が有効だと考えられました。(佐渡の金山より抜粋)
2.佐渡島金山の世界遺産登録の経緯
佐渡島の金山の世界遺産登録に向け、2007年より下記の流れで推薦に向け、手続きが地道に進められました。
2007年12月19日
世界遺産暫定一覧表記載資産候補提案書を提出
2010年6月14日
世界遺産暫定一覧表に記載(「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」)
2010年10月6日
世界遺産条約関係省庁連絡会議で世界遺産暫定一覧表への追加記載が了承される
2015年7月
国文化審議会世界文化遺産特別委員会で平成27年度の推薦候補見送り
2016年3月
推薦書原案(改訂版)を国へ提出
2016年7月
国文化審議会世界文化遺産特別委員会で平成28年度の推薦候補見送り
2017年3月
推薦書原案(改訂版)を国へ提出
2019年7月
国文化審議会世界文化遺産部会で平成29年度の推薦候補見送り
2018年3月
推薦書原案(改訂版)を国へ提出
2018年7月
国文化審議会世界文化遺産部会で平成30年度の推薦候補見送り
2020年3月
推薦書原案(改訂版)を国へ提出
2021年3月
推薦書原案(改訂版)を国へ提出
(佐渡の金山より引用)
3.佐渡島で朝鮮人の強制労働は行われたか
(JINF国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力氏コラム参照)
・2021年4月27日、菅義偉政権(当時)は朝鮮人労働者の戦時動員は「強制労働」ではないという次の閣議決定を行っている。
この他、以下の記述が示されている。
(以下産経ニュース2022年1.21参照)
・朝鮮労働者に対し、年齢や経験、採掘量に応じ、賃金が支給されていた。
・作業に応じた精勤賞与、年2回の勤怠賞与、2~3年の契約を更新すれば奨励金を支給。
・労働者の宿泊場所の部屋が用意されていた。
4. まとめ
今回の佐渡島金山のユネスコへの世界遺産登録推薦において、韓国が抗議しているような奴隷のような強制労働の実態は見受けられず、労働者に対して一定の賃金他、報奨金が用意されています。
韓国が主張する強制労働に対する根拠は乏しく、証拠も見当たらないと言われています。
この国の反発だけで岸田政権がこの推薦を取り下げるのは早計どころか、「外国が反発すれば日本は引く」と、芋引きの悪しき前例を作ることになりかねません。
そもそも給料やボーナス、生活場所まで保証されながら韓国が一方的に「強制労働」だと決めつけ、抗議してくることはお門違いであり、相手にしなくて良いのではないでしょうか。
高市政調会長が述べるように、外交ルートで「鎖国下の江戸時代の技術」である点を強調し、韓国側にもしっかりと説明するよう政府には対応して頂きたいものです。
根拠が無い言い掛かりとも取れる今回の韓国の抗議に対し岸田政権は決してひるまず、今回の世界遺産登録のユネスコへの申請を続行すべきと考えます。
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